褥瘡予防は体位変換がすべて
宇宙空間では褥瘡は出来ない。
褥瘡とは?
褥瘡(=床ずれ)とは「長い間、皮膚に圧力が加わり、血流が悪くなり、皮膚表面の組織が壊死(エシ)や潰傷をきたした状態」である。
褥瘡の原因となるものは?
体位変換
2時間ごとの体位変換が一般的である。 2時間という時間間隔が有効であるかは決定的な検証はなされていないが最大限2時間という時間間隔は支持できると考えられる、と述べている学者がいる。
皮膚
高齢になると皮膚は皮脂分泌が低下し、発汗も低下し、ドライスキンとなり、皮膚も薄くなる。皮膚再生能力も低下し、一度傷つくとなかなか治癒しない。
骨の突出
栄養が取れなくなると、皮下脂肪が減少し、骨の周りの筋肉も衰退し、骨が隆起した様になる。ズレによる剪断力が働き、傷つきやすい。
ズレ
褥瘡発生の原因の一つに摩擦やズレがある。
骨の突出により体圧の増大、横方向の力(ズレ)等の影響を受けやすくなる。
高齢者は一日の殆どをべッド、車椅子生活による皮膚の接触生活をしている。ギャッチアップ、体位変換、オムツの交換等により、皮膚表面に圧縮応力、剪断応力、引っ張り応力が働き、血管が閉塞し、皮膚組織が傷つき、褥瘡になる確立は高い。
なぜ褥瘡がおこるか?
皮膚表面と寝具の接触した時の圧力が毛細血管を抑えて閉塞させるのに必要な圧力は32mmHg と言われている。毛細血管は皮膚の組織に必要な栄養素を運び、不要になった老廃物を運ぶ血管なので、この血管が圧迫によって押し潰され、一定の時間(たったの2時間程度)が経過するとその部分の血行がとだえ、組織が破壊され褥瘡が発生してしまう。
健常者には褥瘡が出来ない
しかしながら、健常者が硬い寝具に就寝しても褥瘡が出来ないのはなぜか?それは栄養状態が良好であることとともに、無意識のうちにしびれや痛みを感じて体位変換して、圧力を中断しているからと考えられている。
エアーマットレスだけで解決できるのか!?
褥瘡予防具として主流をしめている「エアーマットレス」は基本的に右図の如く、 [ A、B ] 二連のエアーセルからなり、交互に空気を満たし、体を支えるマットレスである。接点が一定時間で変わり、褥瘡発症率は低下する。
しかし、褥瘡発生予防のためにエアーマットレスを使用していても,体位変換が定期的に行なえなかったり、圧力に対する組織耐久性が低下したりして褥瘡が発生する場合がある。
現在、エアーマットレスは一般的な褥瘡予防用に使用されており、「エアーマットで褥瘡が出来たのなら仕方がない」との認識すらある。