株式会社 中島メリヤス

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新型コロナウイルスと腹臥位Ⅵ/腹臥位姿勢についての考察

オリンピックが始まり、東京都では4回目の緊急事態宣言の中、コロナ感染者は7月29日に3865人になりました。全国の感染者数も1万人を超え、第5波の流行季に入ったと思われ、大変憂慮するべき状態にあります。

 

これまで書いてきた通り、コロナ患者を腹臥位姿勢にすることは推奨されています。

 

コロナ 腹臥位療法で検索すると

始めのページ、上段に枠の中に数枚の写真と共に

新型コロナウイルスに感染し、重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)になった患者の治療法として、「腹臥位(ふくがい)療法」が注目されている。 うつぶせにする時間を設けることで肺の換気機能を改善でき、世界保健機関(WHO)や厚生労働省も推奨するが、 適切に行うには多くの人手が必要となるなど十分な実施体制を整えることが不可欠だ。 COVID-19に対する腹臥位療法:論文紹介と実践方法 https://kirakunurse.com/covid-19-prone-positioning/

 

なぜ、腹臥位療法が推奨されるのかもう一度、振り返ってみたいと思います。

1、腹臥位療法は肺機能を隅々まで、活性化させる。

①気管支に詰まった異物を重力の作用で輩出させ、気道が確保され、呼吸ができる.

②下側肺障害

仰臥位(上向き寝)で寝ていると重力によって、体液が背側に溜まってくる、又は重力によって背側の肺がつぶれてくる。背側の肺組織が十分に働かなくなる。

腹臥位になると、溜まっていた体液は下(腹部)の方に移動し、体液から解放された、背側の肺組織は活動できる様になる、又は重力から解放された背側肺組織は活動できるようになる。

 

2、腹臥位になると横隔膜を大きくうごかす腹式呼吸になり、胸式呼吸より深く呼吸ができ,肺組織すみずみまで空気を送り活性化させる。

 

コロナ疾患の治療の腹臥位姿勢は病院により、異なると思われます。

私が初めてコロナ患者の腹臥位治療のビデオを昨年末見ました。

COVID-19に対する腹臥位療法:論文紹介と実践方法

 

COVID-19に対する腹臥位療法:論文紹介と実践方法

腹臥位療法実践動画紹介

YouTubeより   https://youtu.be/lcBPaHQUvXY

(lobpah1)
コロナ重症患者を腹臥位にして治療

 

 

 

 

 

 

 

仰臥位(上向き姿勢)で胸と腰部にクッションを置き、全体をシーツで覆い、腹臥位に回転していました。

 

クションは

枕(変換後セット)

胸部

腰部

足首(変換後セット)

 

Youtube・49300回以上視聴  2020・04・02
【制作者 Rush University System for Health】

このビデオ画像はコロナ重篤患者の腹臥位療法として、早くから公開され、日本でのコロナ重篤患者の腹臥位療法の原点となり、多くの病院で実施されている方法かと思われます。

 

この方法で良いのでしょうか・疑問

私がこの方法で治療を受けると
・顔を寝具面と平行・90度横向きになり、首のねじれの苦痛と硬直が心配
・クッションの沈み込等により、正しい腹臥位姿勢に成れず、身体(首・腰・その他)の苦痛が生ずるのではないでしょうか。
・その他

参照 正しい腹臥位姿勢の研究 

仰臥位と腹臥位の関係について(睡眠環境学会 抄録)
- 腹臥位補助具開発の指標として -

 

 

 

非気管挿管患者の腹臥位マット

秀姿マット

腹臥位姿勢でストレスが少なく、長時間、腹臥位で居られます。

フェース枕  目に優しい。呼吸が楽にできます
枕台   前後左右に傾けられる。
胸部マット         38*35*12㎝~⒘㎝(高い所)
腰部マット   38*35*12㎝
ヨダレ処理が簡単にできます。
(フェース枕と胸部マットの間に見える白い枠)

 

 

特長
・身体能力ある患者さんは秀姿マットの上に『うつ伏せで寝て下さい。』の一言で寝られます。
(医療従事者への負担は少ないです。)
・体重100㎏の人が寝ても潰れません。(正しい寝姿勢は保てます。)
・胸部、腹部、臀部、身体の凹凸に対応していて、快適です。
・顔面、フェース枕の上で、目、鼻、顎にも圧がかからりません。
・顔面が寝具面に垂直でも、呼吸は楽にできます。
・就寝から起床まで腹臥位で居られます。

フェース枕

うつ伏せ寝で顔を優しく支えます。

 

 

 

 

 

体位変換

通常寝具での様な大きな体位変換はしなくとも、大丈夫です。
理由1、身体的苦痛を感じる部位がありません。(仰臥位の仙骨部のような・・)
理由2、顔、手、足は普通の考への出来る人であれば、自由に(無意識でも)動かせます。動かせると、重心移動が出来、寝返えりしている状態です。

体圧測定


非挿管マット体圧   男性 63㎏

圧力の高いところが無く、褥瘡の心配は少ないです.

体位変換経時変化 測定      経時変化 腹臥位

* 就寝から中途覚醒時迄、腹臥位姿勢で、中途覚醒から起床まで、腹臥位姿勢で居られた測定結果です。
* 就寝時間 ⒑時頃から朝5時頃まで約7時間位腹臥位でした。
* コロナ患者の腹臥位療法時間は18時間位と言われています。

秀姿マット使用の様にストレスの少ない、寝姿勢でないと患者に身体的苦痛を与える、危険を生じます。

身体能力の低い人を腹臥位へ
先ほどの特徴の始めに「身体能力のある患者さんには、言葉で話せば、一人で腹臥位に…」と書きましたが、身体能力の少ない患者さんは『移動と回転』で簡単に腹臥位に成れます。

非気管挿管患者の腹臥位にするのに、移動版(巾40㎝・厚さ 6㎝ 位・滑りやすい表地使用)を使うと、腹臥位マットに高さがあっても簡単に腹臥位に成れます.


99歳 女性 36㎏

重い人でも『移動と回転』で体位変換できます。
持ち上げたりしませんので少ない労力で腹臥位になれます!!


先の腹臥位療法実践動画紹介

YouTubeより   https://youtu.be/lcBPaHQUvXY

では、仰臥位の時にクッションを胸部、腰部に載せ、全体を『移動と回転』で腹臥位にしています。しかし、そのクッションが適性な高さで、患者さんの安楽な腹臥位姿勢に成るとは限りません。(クションの沈み込は体重により異なります。)

 

 気管挿管患者は口より、外径13mm位のチューブを気管支迄挿入されます。

(lobpah3)

人工呼吸管理中の患者の鎮痛・鎮静管理
https://www.kango-roo.com/learning/5839/

 

人工呼吸管理中になぜ鎮痛・鎮静が必要か

1.患者さんの苦痛 身体的苦痛(精神的苦痛もあり、省略)

①創通
②チューブ類の痛み
③人口呼吸器との不同調
④疾患によるもの
⑤体位
⑥嘔気
⑦疼痛感

Ⅱ.鎮静の必要性、目的を考える。

鎮静の目的・患者の快適性・安全性の確保;患者さんの安楽安寧を維持する
不安を和らげる
②気管チューブ留置の不快感の減少
③動揺・興奮を押え安静の促進
④睡眠の促進
⑤自己抜去の防止
⑥気管吸引の苦痛を緩和
⑦処置、治療の際の意識消失
⑧筋弛緩薬投与中の記憶喪失

Ⅲ.挿管患者の苦痛を少しでも和らげる体位とは
①顔の向き(胸と顔の角度)は30度以上とする。(寝具面と平行の角度を0度とする。)
②寝具との角度(図-2参照)と顔の向き①の相乗効果で顔面角を首に負担を掛けない。
③顎を少し上げた状態にし、パイプの曲がりを少なくしチューブ類の違和感を少なくす。
④顎上げ姿勢(図-1)は苦痛を伴う、注意が必要
⑤口の前の空間を保ち、チューブ類の操作・その他の支障ないようにする。
⑥眼の保護、顎への圧力を減らし、顎変形症に注意する。
⑦胸部・腹部の体重による高さ・変形を少なくし、快適な腹臥位姿勢を保てるマットとする。
⑧身体接触部位の体圧分散を考慮して、少なくとも一晩(7~8時間)腹臥位姿勢に居られるものとする。
⑨腹臥位になると尿道カテーテルの位置も考慮する必要?

 

[図-1]  顎上げ姿勢、       [図-2] 身体を傾斜

【図-2】参 身体の傾斜なしで、顔を寝具面と平行にすることは大変苦痛

以上Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、の留意点を考慮すると、気管挿管マットは次のようになりました。

 

気管挿管マット
(このマットはもう少し改良・検討の必要が
あります。)

挿管マット

  • 胸、腰部体幹傾斜補助具を設け、腹臥位で乗り、(この場合)右側浮き上がり、左側沈む。
  • 腰部マット右側に約2㎝の溝あり、腹臥位の時 尿路カテーテルの設置場所
  • 顔面

頬位置・楕円

 

・楕円部分に左頬がきて、顔面を支える。
・口、鼻は(図の)上方にあり、大きな空間があり、
・挿管パイプの妨げにならない。
・眼はフェス枕の曲線上にあり、圧は掛らない。
・顎上げ角度(図-1)は枕の角度で調節する。
(顔の角度(図-2)体幹角度15度位、顔-胸角度は60度弱・体のストレスの掛らない程度)

 

 

体圧測定

挿管マット 体圧測定

男性 体重63㎏
・体の右側(測定の上方)圧力はあまり掛らない。
・体の左側(測定の下の方)全般に左に傾いているので、右より多い。
・黄色の濃い所で約60mmHG(呼吸の度に数値は変動する。)
・身体的苦痛を与える部位は無く、長時間の腹臥位姿勢で居られる。

体位変換(現状は右側・浮上 、左側・ベッド面接触)
1.頭・挿管チュ-ブに注意位を払って、頭部を持ち上げ、枕を移動
2.左側により傾け(側臥位)・傾斜補助具を外す。
3.右側側臥位にして・外した傾斜補助具を設置
4.枕部・チューブ・腹部マット・腰部マット・足首マットを整えて完了

体位変換はビデオの様な労力は必要無く、簡単にできます。

 

良い睡眠

成長ホルモンの分泌・・身体の修復
疲労回復、筋肉細胞の回復、瞬発力、健全な思考
脳、筋肉中の疲労物質の排出し、抑うつや不安などのこころの不健康も予防します

 

「腹臥位療法を適切に行うには多くの人手が必要となる。」と言われておりますが、コロナ中等度患者の中には医療従事者にそれほど労力を使わせず、治療できる人も、方法もあります。
概日リズム:サーカヂアンリズムを守り、コロナ患者の腹臥位は18時間が良いと言っても、生活リズムを守り健全な睡眠を考慮した方が良い場合もあると思います