第25回日本睡眠環境学会が開かれました。
会期:平成28年9月29日(木)・30日(金)
ワークショップ:9月28日(水)
場所:足利市市民会館 別館ホ-ル
大会長は足利工業大学の荒川一成先生でした。私も会場準備などでお手伝いをしました。
今回、非常に興味を持ったのが、鼻腔挿入デバイス【ナステント】の開発ストーリーでした。
初日の29日午後1時20分から招待講演
筑波大学 国際総合睡眠医科学研究機構(IIIS)の佐藤 誠先生から『睡眠研究の共同研究の可能性』という演題で約1時間お話しされました。
国際総合睡眠医科学研究機構(International Institute for Integrative Sleep Medicine:IIIS)は文部科学省のトップレベル国際研究拠点(WPI)の一つである。睡眠覚醒の神経科学および関連領域の世界トップレベル研究者を集結し、睡眠覚醒機構を解明し睡眠を制御する戦略の開発や睡眠障害および関連する疾患の制御を通して人類の健康増進に貢献することを目的として、2012年12月1日に発足しました。血管内皮細胞由来のペプチドで、強力な血管収縮作用を有するエンドセリンと、睡眠と覚醒の制御に関わるオレキシンを発見した柳沢正史教授が機構長を務めています。
IIISのミッションの一つが公的・私的競争的外部資金の獲得と各企業との共同研究です。本講演では先生が大学院人間総科学研究科で行ってきた共同研究の概略と、先生を含めた国際統合睡眠医科学研究機構の研究者が行っている共同研究のうち公表できるものについて概説され、今後の睡眠研究の(産学)共同研究の可能性について、お話しされました。
その中で、次のセブン・ドリーマー・ラボラトリー株式会社 阪根信一社長との共同研究、鼻腔挿入デバイス「ナステント」の開発プロセスのお話も含まれていました。
鼻腔挿入デバイス「ナステント」 開発ストーリーをセブン・ドリーマー・ラボラトリー株式会社 阪根信一社長がお話しくださいました。
演題 『睡眠研究の共同研究の可能性 企業の立場から』
阪根社長は
- 無呼吸症候群の患者として、CPAPを長年使用してきた。
- 睡眠の質の重要性を感じていた。
- 仕事がら、移動が多いため、CPAPの持ち運びに不便を感じていた。
- 別に便利性のあるものがなかった。
市場調査を始め、又、専門機関及び専門医との情報交換等で情報収集を行い、無呼吸の発症メカニズムを正確に知り、この頃から筑波大学との連携をスタートさせた。
物理的に気道を確保するため、他に開発中のガイドワイヤーを利用すればと、開発の目標が見えてきた。
材質、形状、使用感、その他についての検証を徹底的に実施した。
多くの方に最適解を届けたいために、商品化に向けて検証した。鼻腔挿入デバイスの機能と本来の目的である気道確保を実現するためには口蓋垂よりも15㎜以上の挿入が必要であることが、わかたが、口蓋垂及び軟口蓋の長さには、個人差が多いことが解り、長さのバリエーションの検討をし、現行商品・「ナステント」のラインナップを実現した。
開発当初より連携を取っている筑波大学佐藤誠教授のご協力のもと、「ナステント」の臨床試験を開始、いびきや無呼吸症候群に一定の効果があることを証明した。医療機器として承認を取得した。
お話の中で軟口蓋までの気道閉鎖に効果あるが(のどの奥までパイプを入れると「ゲー」が出てパイプは入らない。)、「舌根沈下が原因の無呼吸症候群」には効果は無いと説明されていました。舌根沈下による無呼吸症候群はおよそ25%だそうです。鼻腔挿入デバイス「ナステント」はおよそ75%の無呼吸症候群に効果があるそうです。