株式会社 中島メリヤス

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第11回「腹臥位(うつぶせ)療法 推進研究会と実践の報告セミナー」に出席して

平成21年12月12日に上記、セミナーが聖路加看護大学1階講堂で開催されました。98歳になられても、お元気な日野原重明先生を中心として、日本赤十字看護大学教授 川嶋みどり先生、医療法人 医誠会(大阪)丸川征四郎先生、国立病院機構鈴鹿病院の安岡文彦先生、名古屋大学医学部看護科助教授野田明子先生方が「腹臥位の有効性」について医学的データーをもとに、お話になりました。
又、事例報告として、健和会臨床看護研究所 境裕子先生より「腹臥位が困難な方への実践について」、(財)大和会東大和病院 比留間恵先生より、「高齢化!だからこそ腹臥位療法」等のお話がありました。
丸川先生のお話の中で、腹臥位ケア効用として、次のような効果があるとお話しされていました。

1 関節拘縮の防止・改善
2 誤嚥の防止
3 誤嚥性肺炎の予防
4 残尿の改善-尿路感染の防止
5 便秘の予防と改善
6 尿便失禁の防止
7 認知障害の改善
8 褥瘡の予防と改善
9 睡眠時の舌根沈下防止
10 全身的改善

私もセミナーの最後で、「肩の沈むマットレスと腹臥位用マットレスの開発」の演題で10分間のプレゼンテイションさせてもらいました。
腹臥位療法は前のブログ「痰が取れない・・・誤燕性肺炎の疑い」で書いたように、痰が自然と流れ出し、呼吸がらくになった、母の体験も入れて、話をさせて頂きました。
腹臥位療法の良いところは理解していても、腹臥位にすることが大変で又、される方も苦痛を伴うと思われています。
しかし、腹臥位になりやすい寝具が有れば!・・、苦しくない寝具があれば!・・、との発想から、前回開発した立体的な「腹臥位用マットレスと腹臥位用枕」と異なる平坦なマットレスを開発しました。「腹臥位用マットレスと腹臥位用枕」は腹臥位になると楽な姿勢が保持でき、非常によいと思いますが、ベッドの上にセットするだけでも面倒と思われ、なかなか普及しません。(眼科関係の術後に多く使用されております。)

新たに開発した腹臥位用マットレス

枕を置く枕部と体が横たわる部分との間に溝を設け、鼻が収まり、呼吸が楽にできる構造とし、顔面への接触部の体圧を減らす工夫をしました。又、痰等の排泄物もこの溝にシート(タオル)等を挟み込めば簡単に処理できます。
胸の補助具は腹臥位になったとき、鎖骨附近の空間を埋め、頚椎角度を理想的にし、胸の形状になじむようにしました。胸補助具はなくとも、通常のマットレスで腹臥位に寝るより楽ですが、使用すると、体圧も平均化し、特に歯(歯根)への圧力が殆どなく、長時間の腹臥位姿勢が保たれます。又、腹部の圧迫が少なくなり、胃液の逆流が防げます。
顔面補助具は額の接触面をできるだけ多くし、体圧を減らす構造とし、頚椎角度の調節に使用します。もちろんなくとも腹臥位になれます。
両方の補助具をしないで、通常の枕を枕置部に置けば普通のマットレスとなり、横を向くと肩が沈んで側臥位でも快適なマットレスになります。
仰臥位(上向き)姿勢、側臥位(横向き)姿勢でも腹臥位(うつ伏せ)姿勢でも快適な寝具になります。
この「腹臥位用マットレス」は群馬県の『R&D』の補助対照事業で開発しました。まだ検討しなければならないこともありますが、今年度(22年3月)末には商品として完成させ、ホームページで紹介したいと思っています。

セミナー終了後日野原重明先生と

この度の開発に当たって、足利工業大学の小林敏孝先生(日本睡眠学会理事)、荒川一成先生(日本睡眠環境学会理事)に大変御世話になりました。
セミナーの発表は、日本赤十字看護大学の川嶋みどり先生のご推薦を頂いて出来ました。
改めて、感謝申し上げます。