コロナ患者に腹臥位がなぜ有効か
コロナ患者への治療薬は現時点ではない
治療薬開発の現状 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medicine/detail/remedies.html
・レムデシビル WHO 入院患者への投与 勧められないとの指針公表(11/20)
WHO=世界保健機関は、世界各地の臨床試験を分析した結果、「死亡率の低下などにつながる重要な効果はなかった」として、入院患者への投与は勧められないとする指針を公表しました。
・レムデシビル・・現場の医師「効果を実感 引き続き使っていく」
これまでレムデシビルを使った治療を行ってきた、東京 渋谷区の日本赤十字社医療センターの出雲雄大呼吸器内科部長は、「日本で特例承認されてから、これまでおよそ40人の新型コロナウイルスの重症患者に対してレムデシビルを投与してきたが、生存率の向上や、人工呼吸器から離脱できるようになるなど、効果を実感してきた。レムデシビルは、1人に25万円程度かかるなど高価なこともあり、WHOは『推奨しない』と判断したのかもしれないが、命はお金より重いはずだ。ほかに特効薬が出るまでは、私たちとしては引き続き使っていくことになる」と話していました。
・「アビガン」新型コロナ治療薬として国の承認求める申請(10/16)
「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発した抗ウイルス薬で、新型インフルエンザの治療薬として承認されていて、新型コロナウイルスでも治療効果が期待されています。
・米製薬会社の「抗体医薬」FDAが緊急使用許可 軽中症状に効果(11/10)
・名古屋大学 新型コロナ 人工の抗体 速やかに作ることに成功(9/19)
・イベルメクチン コロナ治療薬への承認目指し治験へ 北里大病院(9/17)
このようにいろいろな所で治療薬を研究されていますが、今の所万人が認める所の治療薬は無いようです。
新型コロナ 「うつぶせ」治療で重症患者の肺機能が改善
https://www.asahi.com/articles/ASN9X5QRVN9SULBJ00S.html#:~:text=%E3%80%80%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4,%E6%B3%A8%E7%9B%AE%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
新型コロナウイルスに感染し、重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)になった患者の治療法として、「腹臥位(ふくがい)療法」が注目されている。うつぶせにする時間を設けることで肺の換気機能を改善でき、世界保健機関(WHO)や厚生労働省も推奨するが、適切に行うには多くの人手が必要となるなど十分な実施体制を整えることが不可欠だ。
COVID-19に対する腹臥位療法:論文紹介と実践方法 https://kirakunurse.com/covid-19-prone-positioning/
腹臥位療法実践動画紹介
YouTubeより https://youtu.be/lcBPaHQUvXY
気管挿管している、患者の周りに5人の医療従事者がいて、もう一人、介護手順をチエックする人と共に6人で仰臥位から腹臥位に、体位変換しています。そして再び仰臥位に体位変換しています。熟練のスタッフとチームワークが必要なこと、大変なご苦労をしていることが理解できます。
ぜひ一度、YouTubeを見て下さい。
新型コロナ 「うつぶせ」治療で重症患者の肺機能が改善
https://www.asahi.com/articles/ASN9X5QRVN9SULBJ00S.html
新型コロナウイルス感染症の増加を受けて、4月以降、金沢大付属病院(金沢市)では、重症者を中心に患者を受け入れている。
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集中治療部の岡島正樹医師は「悪化の仕方がすごく早かった」と振り返る。
血液中の酸素が著しく低下し、低酸素血症となるなど重症のARDSを引き起こしていると考えられた。そのため、治療法の一つである腹臥位療法を、人工呼吸器と組み合わせて行うことにした。
日中は、仰向けで治療を受けている患者を、夕方から翌朝までの平均16時間ほどうつぶせにする。そうすることで、夜間は、背中側の肺への圧迫を減らし、つぶれた背中側の肺を膨らますことがねらいだ。
腹臥位療法をした5人のうち4人は、4日以内で効果があらわれ、リハビリを経て、歩いて退院できるまで回復した。
全国医学部長病院長会議が、大学病院で行われた新型コロナ重症者への治療法(複数回答)を調べた調査では、重症者487人のうち142人に腹臥位療法を実施し、93人が快方に向かった。
ただ、安易にできる療法ではない。人工呼吸器をつけた患者は、カテーテルなど複数の管につながれていて1本でも抜けると命にかかわる。岡島医師は「片手間ではできない療法だ。マンパワーとチームワークが求められる」と話す。
同病院では、医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士らスタッフがチームとなって、患者ごとに体位変換のシミュレーションを繰り返し実施。スタッフを患者に見立てて試した後に、実際には、6~9人で患者の体位を変えた。
また、麻酔がかかり意識がない患者が多いため、うつぶせにした後は、夜通しで見守りが必要だ。患者自身が体を動かしたり、痛みを訴えたりできないため、体や顔に褥瘡(じょくそう)ができる可能性があるためだ。特に目は、圧迫で失明することがあり、要注意だ。
加えて、新型コロナの患者に対応する場合、医療者は個人防護具を身につけて行うことになり、大きな負担となるという。
経験豊富なスタッフが必要
(現場のご苦労を理解できます様、そのままコピーさせて頂きました。)
特効薬でもないのになぜ腹臥位が効果があるのでしょうか
(これからは医者でもない私の推論です。間違っていたらごめんなさい。)
肺は呼吸により、血液に酸素を取り入れ、炭酸ガスを放出する「ガス交換」の生命維持に無くてはならない臓器です。
肺には気管支、肺胞などいろいろな部位があります、それぞれがその働きによって「ガス交換」をしています。その部位のどれかに新型コロナウイルスが取りつき、その機能を破壊し、炎症を起こします、重い肺炎となります。重い肺炎になりますと身体の防御反応(?)からか水分が肺の中に滲み出ることがあります(肺水腫)。
金沢大付属病院の岡島正樹医師は「悪化の仕方がすごく早かった」とお話ししていらっしゃいますが。新型コロナウイルス感染患者の病状進行には2つの要因が考えられます。
Ⅰ.ウイルスが肺の「ガス交換」機器へ攻撃し、不活性化させてしまう。
Ⅱ.肺に溜まった水で肺の組織(たとえば肺胞等)が冠水し、不活性化してしまう。
上記要因、Ⅰ及びⅡが足し算となって一気に病状を悪化させます。
要因Ⅰは現在、決定的な治療は無い状態です。ウイルスの増殖に任せるだけです。 但し、病状の進行は体力の差で遅速の差はあるようです。
要因Ⅱは腹臥位で長時間居られれば、体位ドレナージとして、水は排出されます。 冠水されなければ残された肺の組織は働き、「ガス交換」が出来ます。
「うつぶせにする時間を設けることで肺の換気機能を改善でき、世界保健機関(WHO)や厚生労働省も推奨する」としています。
要因Ⅱの肺の水を取り除き、「ガス交換」が出来ればマイナスがプラスに転じ、重傷化を遅らせることが可能です。
重症化を遅らせ,時間をかせげれば、抗体が生まれ、要因Ⅰも防ぎ、自然治癒力を得て完治する可能性もあるかもしれません。
下側肺障害
図-1は仰向け寝(仰臥位)で長時間寝ていますと、肺に溜まった体液(深部痰)は重力により、肺の下側に溜まります(図の左側)。深部痰の出口はなく、排出されません。下側の肺は機能せず、動脈血酸素飽和度(SpO2)は低下します。酸素療法が必要となります
腹臥位になります(図の右側)と、深部痰は排出されやすくなり、血流量は下側に多くなりますので、SpO2は改善の方向に向かいます。
図-1
腹臥位でも全ての痰が流れる出るわけではありません
腹臥位又は側臥位になりますと粘性のある、深部痰は上気道(咽頭、喉頭、口腔)(図-2の楕円枠の位置)まで降りてきて、咳反射で出口(口)より、簡単に排出されます。
なお、粘性の痰は十分に加湿を行って、痰の粘稠度を下げ、重力によって痰を上気道まで移動させ、さらに喀痰するために十分な呼気量・速度を得るために、咳嗽介助やスクイージングといった方法で排痰を補助します。
図-2 喀痰の時は飛沫処理には十分注意して下さい。
肺水腫 [メデカルノート]
血液中の液体成分が異常に漏れ出てしまい、本来空気で満たされるべき肺の空間が液体で置き換わってしまっている状態を指します。
肺水腫を発症すると、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなるため、息切れ、喘鳴ぜんめい(ゼーゼーと音がする呼吸のこと)、咳、痰、呼吸困難などの症状が現れます。呼吸障害が進行して命の危険を伴うこともあるため、できるだけ速やかに治療することが必要です。
肺水腫になる病気
心筋梗塞、心不全、敗血症、肺炎、肺がん、多発外傷、誤嚥、等があります。