非挿管患者の腹臥位療法
新型コロナウイルス(COVID-19)患者の離床
【COVID-19患者】非挿管患者における腹臥位療法
学術最新ソース
COVID-19患者】非挿管患者における腹臥位療法
アメリカ、ニューヨークにおいて、非挿管患者における腹臥位療法の調査報告が届きました。
酸素療法(鼻カニュラ・酸素マスク)などの、非重症のCOVID-19患者に対して、腹臥位ポジションの効果を検証しています。
50例の対象において、介入前のSpO2が84%に対し、5分間の腹臥位にて、SpO2が94%まで改善されました。
軽症例においても腹臥位は酸素化の改善に有用である可能性があります。
一方で、対象のうち13例(24%)はSpO2が低下し挿管が必要となり、安全性については検討の余地があります。
下記の原文では、患者背景とアウトカムの詳細や、研究の限界点について確認することができます。
臨床で応用する場合には、是非、一度ご覧ください。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/acem.13994
コロナ患者の容態と割合
12月に入り、コロナ第3波の流行期入り、国も、地方も医療崩壊の状態になると心配しています。
私達がもしコロナに感染したと判明したら、どのようになるのでしょうか。すぐに入院させてくれるのでしょうか。医療崩壊が心配されている中、地方病院でもベット数の不足が懸念されている時、なかなか、即入院できるとは限りません。
新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等について(施行通知)
https://www.mhlw.go.jp/content/000683018.pdf
10月14日に運用見直しが行われ、無症状・軽症の新型コロナ患者は入院勧告・措置の対象ではなくなりました。ただし、
・ 高齢者、呼吸器疾患等の基礎疾患があるなど重症化リスクのある者
・妊婦
・ 症状等を総合的に勘案して医師が入院させる必要があると認める者
・ 都道府県知事が入院させる必要があると認める者
等に該当する場合については、入院勧告・措置の対象となりえます。
入院とならなかった場合は、ホテル療養か自宅療養のいずれかとなります.
軽症者(SpO2≧96%)は、原則として治療薬は使用されません。軽症の人のほとんどが自然と治癒するためです。
軽症であっても、発症後7~10日以降に重症化することがあり、重症化リスクが高い人は病院で慎重に経過を観察することで適切に治療を開始することができます。
中等度1(93%<SpO2≦96%)呼吸不全なし、 酸素吸入を行います
中等度2(SpO2≦93%)呼吸不全あり、 酸素吸入を行います、人工呼吸器も使われることがあります。
重症 人工呼吸器、ECMO治療
経皮的動脈血酸素飽和(SpO2) 動脈血液中のヘモグロビンの酸素の量 96%以上 正常 、93%以下 酸素療法必要
患者の割合
軽症者 80%位 ・ 中等度 15%位 ・ 重症者 5%位
新型コロナウイルス患者の折床(11月初めのソースより) https://www.rishou.org/covid-19-news#/
軽症者でもホテル療養に選ばれた人は幸運で、専門の医療技術者の監視のもと生活できます。もし急変すればすぐに対応して頂けます。自宅療養の人は専門家の指導は受けられますが、家庭内感染の心配や、自身のウイルス疾患の進行等の不安はあります。
自宅待機 急死した人の例
広島の例 12月13日 陽性と判明 12月14日 病院を受診した。咳きや倦怠感あり、持病確認、自力で歩ける。翌日入院の予定。 帰宅したが、深夜 死亡
県内の病床の逼迫(ひっぱく)状況と、患者が14日に入院しなかったこととは関係ないという。 県健康福祉局長は「亡くなったことは重く受け止めたい」としたうえで、「入院が必要な人は速やかに入院できる態勢をとっている」とも語った
埼玉の例 4月16日 感染確認 軽症と判断 病院が見つかる迄、自宅待機 発症から1週間以上経過した 4月20日 保健師が確認し 翌21日から入院予定 夜 急変 死亡
「発症から1週間過ぎた患者が急変するケースはあまりない」とする専門家の意見に触れ、「(男性の)自宅療養はやむを得なかった」と説明。「自宅待機」とした県の判断に問題はなかったとの認識を示した。
気管挿管している 重症者の腹臥位療法は大変
前回のブログ「コロナと腹臥位Ⅲ」にも書きましたが、重症患者に対する治療は大変で、1人の患者に多くの専門スタッフのチームワークと労力が必要です、表題だけ載せておりますから、もう一度ご覧ください。
新型コロナ 「うつぶせ」治療で重症患者の肺機能が改善https://www.asahi.com/articles/ASN9X5QRVN9SULBJ00S.html
腹臥位療法実践動画紹介 YouTubeより https://youtu.be/lcBPaHQUvXY
コロナ患者の腹臥位療法への簡単な方法はないのでしょうか
医療崩壊が危惧されている時、医療従事者の不足はあきらかです。数多くの熟練のスウタッフを必要とする、重症者の腹臥位療法に対応できる医療機関は少ないと思われます。 解決方法は無いのでしょうか? 網膜剥離の人は長時間の腹臥位を求められます。眼科の患者への腹臥位療法は、コロナ重症患者を腹臥位にするような、熟練スタッフも人員もいりません。患者さんが自身で腹臥位になり、多少腹臥位の注意点を指導したり、掛け布団を掛けたり、してあげれば良いのです。ここに「コロナ患者の腹臥位へのヒント」が有るのではないでしょうか
条件により腹臥位療法は簡単に出来ます。
コロナ患者入院の条件、中等度の患者の方々は入院時、下記の身体能力があると思われます。眼科網膜剥離の方々とほとんど同じ身体能力があると思います。
- 一人でうつ伏になれる、身体能力がある方、
- 意識もしっかりしている方(認知症の方は指示や指導できません)
- 骨祖症でない方
前記「コロナ患者の容態と割合」によると、入院される方が約20%おります。入院したばかりの方々は上記3条件を満たす、体力のある方がほとんどと思います。入院された方々すべて腹臥位で寝てもらいます。一人で腹臥位になれます。もちろんお金のかからない腹臥位用器具を考えて、使用してもらいます。
コロナ感染者で入院出来ない人の中でも高齢者や持病のある人には自宅待機でも腹臥位を進め、指導することも大切なことと思います。
新型コロナウイルス感染患者の病状進行には2つの要因が考えられます。(前ブログより)
Ⅰ.ウイルスが肺の「ガス交換」(血液中に酸素を取り入れ炭酸ガスを放出する。)の機器へ攻撃し、不活性化させてしまう。
Ⅱ.肺に溜まった水(肺水腫)で肺の組織(たとえば肺胞等)が冠水し、不活性化してしまう。(前回のブログより)
要因Ⅰは現在、決定的な治療は無い状態です。ウイルスの増殖に任せるだけです。 但し、病状の進行は体力の差で遅速の差はあるようです。
要因Ⅱは腹臥位で長時間居られれば、体位ドレナージとして、肺の中の水(肺水腫)は排出されます。冠水されなければ残された、肺の組織は働き、「ガス交換」が出来ます。
要因Ⅱを出来るだけ早くから、腹臥位療法を実行し、疾患の進行を遅らせることが肝要かと思います。そして、入院患者のすべての人を腹臥位で寝て頂き、昼は酸素療法をして、体力を維持し。要因Ⅱを「ゼロ」にしてコロナ疾患の進行を延ばせれば重症化が避けられ、気管挿管をする患者が減るかもしれません。