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睡眠時無呼吸症候群の為の側臥位補助具の開発

睡眠環境学会 発表原稿 3

   【睡眠時無呼吸症候群の為の側臥位補助具の開発】 

こちらは足利工業大学 小林敏孝教授、荒川一成講師のご指導のもとに睡眠環境シンポジウムで発表いたしました資料です。


 1. はじめに

2003 年 2 月 26 日、山陽新幹線「ひかり 126 号」が岡山駅で緊急停車した。新幹線の運転士が居眠り状態となり、岡山駅において所定の停止位置の手前で急停止するという事故が発生した。その後の医学的精密検査の結果、当該運転者は、「睡眠時無呼吸症候群」( Sleep Apnea Syndrome : SAS )と診断されたが、この事件をきっかけに SAS はにわかに社会問題となった。 SAS が直接的または間接的な原因によって招じた事故は以前から報告がある。

(1)毎日のように発生する自動車の居眠り運転事故、

(2)世界的に有名なアラスカ沖タンカー座礁事故、

(3)スリーマイル島原発事故、

(4)スペースシャトルチャレンジャー発射直後爆発等も SAS が原因とされる。

SAS は

(1)脳 ( 呼吸中枢 ) に問題のある場合を中枢性睡眠時無呼吸症候群( Central Sleep Apnea Syndrome : CSAS )、

(2)上気道 ( のど ) の閉塞による場合を閉塞性睡眠時無呼吸症候群( Obstructive Sleep Apnea Syndrome : OSAS )に分類される。

SAS の主たる症状は、激しいいびきと日中のねむけで、日中のねむけは勤務中の居眠りや時として交通事故等のヒューマンエラーを誘因しかねない。

長期間にわたって SAS を放置しておくと、知性の低下や性格の変化、運動時の呼吸困難を生じるまでに至ることもある。また OSAS 患者は高度の肥満を伴っていることが多いことから生活習慣病(高血圧・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞など)の合併率が高くなる。

睡眠時無呼吸症候群とは一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこる、又は、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上ある人のことを言う。夜間の睡眠中にこの無呼吸・低呼吸状態と激しいいびき(呼吸停止状態からの回復)を交互に繰り返すことによって、その度に脳が覚醒してしまうので、結果として十分な睡眠が得られない。

2.睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療法と欠点

(1)CPAP (経鼻的持続陽圧呼吸)療法

鼻、口をマスクで覆い、高圧の空気で呼吸を助ける方法。

マスクをすることに違和感がある。空気を無理に流す為、鼻炎や声帯を痛める等の危険性もあるが、無呼吸症候群の治療の主たる治療法である。

(2) 耳鼻咽喉科的治療、(外科手術)

(3) 歯科装具(マウスピース)の使用

TRD方・・・舌を前方に吸着させる方法

Esmarch 方・・・下顎を前方に誘導させる方法

少しくらい出したのでは効果がなく、かなりのストレスが生ずる。又長時間の使用は噛み合わせが悪くなることがある。

(4)側臥位(横向きで寝る)になる。

無呼吸症候群の原因である、喉の周りの筋肉群が気道をふさぐ(舌沈下症等)のを横向きで寝ることにより、防ぐにある。

この方法はすべての人に適応できるわけではなく、OSAPの約30%位の人に有効といわれている。

3.従来の側臥位補助具

リックサック型と抱き枕型

通常敷き寝具に横向きで寝て下さいといってもなかなか寝られない。そこで補助具が必要である。これまでの補助具はリックサック型と抱き枕型であり、これらについて効果は期待できるものの、実際の使用を考慮すると、就寝前から装着することによる煩わしさや就寝後の寝返りが困難といった問題があり、両方とも肩への圧力を考えられていない。

4.良い側臥位補助具の条件

なるべく拘束しないこと

寝返りができること

ストレスが少ないこと

比較的容易に側臥位を維持し、かつ寝返りも可能となる側臥位補助具の開発を検討した。

簡単な三角柱で側臥位補助具となりえるか、 (三角柱の高さは、角度は、材質は、どうするべきか。)

この補助具を試作するに当たり、補助具の高さを検討する必要がある。側臥位が確実に維持でき、かつ意識的または無意識的に体位変換が可能となる高さを決定する。被験者は健康な男子大学生 16 名とし、身長、体重、胸幅を測定した。測定の結果、胸幅の平均値は 32.1 センチメートルであった。試作した補助具は高さが 4 、 5 、 6 、 7 、 8 センチメートルのものを用意した。各被験者には硬めの寝台上でこれらの補助具を自由に選択しながら体験させ、『少し困難を伴うが体位変換がなんとか可能な高さの補助具』と『あきらかに困難な高さの補助具』を選ばせて、平均的な補助具の高さを求めた。胸幅との割合を一変量の分布で計算すると、

(1)〔少し無理な高さ/胸幅〕の中央値は 18.95 %であり、胸幅の平均値は 32.1 センチメートルであるので補助具の高さは約 6センチメートルとなる。

(2)あきらかに困難な高さ/胸幅〕の中央値は 22.92 %となり、補助具の高さは約 7.3センチメートルとなった。

5.マットレスの検討

側臥位補助具は体位変換も可能であるが、いびきや無呼吸を減少させることを目的としていることから、半強制的に側臥位を維持させることを第1目標としているため、長時間の側臥位姿勢に肩や脇腹等に局部的苦痛を生じないような敷き寝具が望ましい。

そこで以前、睡眠環境学会で発表した、肩の沈むマットレスと一般マットレスとを比較することにした。

【肩の沈むマットレス】

『肩の沈むマットレス』(ウレタンプロファイル)は横向きに寝ると、肩のところだけ柔らかく、肩が沈み肩への圧力が少ない。上向きに寝るときは硬めのマットレスであり、快適な睡眠が得られる。

.実験の方法と目的

(1)実験の目的:簡単な三角柱で側臥位補助具となり得るかの検証。

(2)肩の沈むマットレスと一般マットレスの比較

(3)補助具ありとなしとの比較

(4)側臥位率の測定・比較

(5)心理評価

実験の方法:上記目的を追行する為

(1)3点温度の測定

(2)終夜ビデオの撮影

ピンク:左側温度計  ブルー:右側温度計  紫:中央部温度計 (左の写真 □の部分)

意識的か、無意識的か、一晩に3回大きく寝返りをしている。

中央(紫)に寄りかかり又は離れて小さい寝返りをかなりしている。

実験風景とビデオ撮影(寝返りをした時の寝姿勢と時間を確認し、側臥位率を計算する。)

 

7.測定結果

 側臥位率

一般ベッドマットレス
肩の沈むマットレス
被験者
補助具使用
補助具無し
補助具使用
補助具無し
A
(右向き側臥位)
96.8%
(高さ 7cm)
77.8%
100%
(高さ 6cm)
82.5%
B
(仰臥位)
87.1%
(高さ 8cm)
57.0%
87.0%
(高さ 7cm)
54.3%
C
(仰臥位)
61.6%
(高さ 8cm)
41.6%
86.5%
(高さ 8cm)
29.5%
D
(仰臥位)
34.1%
(高さ 7cm)
24.1%
74.6%
(高さ 6cm)
24.1%

8.考察

側臥位補助具と肩の沈むマットレスの有効性が認められた。

考察 1

(1)肩の沈むマットレスの側臥位率は一般マットレスよりはるかに良い。

(2)この補助具の有効性が立証された。

(3)寝返りも大きな寝返り、小さな寝返りが出来ている。(身体の為に非常に重要)

心理評価の結果は

(1)一般マットレス・・・肩が痛くなった。

(2)肩の沈むマットレス・・・肩は痛くなく快適であった。 

9.おわりに

被験者A(肩の沈むマットレスの肩の沈むマットレスの側臥位 100 %・無し 82.5 %)

被験者D(肩の沈むマットレスの肩の沈むマットレスの側臥位 74.6 %・無し 24.1 %

この違いはなぜだろうか。

おそらく、寝姿勢の習慣性にあると思われる。

習慣は変えられる。もし被験者Dが無呼吸症候群で、なお、 体位依存性患者 であった場合、よく説明をしてこの補助具を利用して就寝していたら、睡眠姿勢の習慣が変わり、かなり被験者Aに近づくものと思われる。

今後の研究に待たれるところである。


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